1. モスフードサービス元社長 清水孝夫様
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お客様インタビュー

モスフードサービス元社長 清水孝夫様

モスフードサービス元社長 清水孝夫様

北は北海道から南は九州・沖縄まで、全国に1300店以上の店舗数を数える、日本有数のファーストフードチェーンの一つ、『モスバーガー』。その"ファーストフード"という括りを超えたワンランク上の味とサービスは、長年多くのファンの心を掴んで離しません。

モスバーガーの1フランチャイズ加盟店としてスタートし、3年後には全国随一の売上げを上げる超優良店に育て上げた清水さんは、乞われてモスフードサービスの営業部長となり、その後、専務、社長、そして会長と、以後約20年の長きに渡り、加盟時は30数店舗だったモスバーガーを1700店舗以上にまで伸ばすご活躍をされました。

昭和57年の菩提樹オープン当初から、今も変わらず通い続けてくださる清水さん。最も古くからの常連のお客様として、また同時に、日本有数の外食チェーンを率いるトップの目から、菩提樹を長く見てきてくださった清水様に、菩提樹という店について、忌憚のないお話をうかがいました。(インタビュー・文 K's WEB Consulting)

あるクレームがきっかけで常連に

― はじめて菩提樹に来店されたときのことを教えてください。

たまたまフラッと入ってみた菩提樹で

清水さん:私は昭和57年にこの近くに引っ越してきたんです。その当時、このあたりにはあまり飲食店がなかったんですが、私の家内と食べ物屋さんを探してブラブラしていたら、たまたま『菩提樹』という看板を見つけて、「ちょっと入ってみようか」と、フラッと入ってみたのが一番最初です。

― 昭和57年とおっしゃいますと、菩提樹がオープンした年ですね。

店内

清水さん:開店の年だったんですか。確かに、お店はすごくキレイでしたね。キレイなんだけど、古い。良い意味での「古さ」を感じさせる店内に、伊万里焼がダーッと並んでいたりして、「おおカッコイイ、シャレてるなぁ、これ!」、なんて話したのを覚えています。

それから何度か来させてもらっていたんですが、私が本格的に菩提樹さんの常連になったきっかけは、当時あったメニューの「コーンスープ」でした。

あるとき、注文して出て来たコーンスープが、ぬるかったんですね。私もその時、既に外食産業にいたこともありまして、そのことを従業員の方にお伝えしたんです。

一切弁解しようとせずに料理を下げた

清水さん:するとすぐに当時の店長さんが客席まで出て来られて、「大変申し訳ありません。すぐに作り直してお持ちしますから、少々お待ちください。」とおっしゃって、一切弁解しようとせずに、料理をサッと下げられた。そのご対応が、すごく早かったんです。それで、「ああ、これはいい店だ」と思いました。

そのお料理は、その店長さんが運んで来たわけでもなかったですし、店長さんご自身が作ったわけでもなかったでしょう。普通なら「ホントにぬるいのか?」と確かめたい気持ちが表情や動作に出てしまって、一瞬対応が遅れてしまったりするものです。でも、その時の彼には、それが一切ありませんでした。

私はその店長さんの対応を見て、それまで以上に頻繁に通わせていただくようになりました。だから、こう言ってしまっては失礼かもしれませんが、私が菩提樹さんの本当の常連になった決め手は、実は当時の店長さんでした。その店長さんの誠意ある「姿勢」ですね。

持ち上げるわけじゃありませんが、私の体験で言わせていただきますと、ああいう社員の方が育つということは、株式会社菩提樹さんもいい会社なんだと思います。

不思議とお客様に伝わるお店の"良さ"

― 今は独立して、守谷市でとんかつ店を開いている吉野さんですね(『かつ吉野庵(かつよし のあん)』)。

不思議なご縁が二十数年を経て繋がった

清水さん:それで、また不思議なことがありましてね。その後、その吉野さんが独立して、守谷市にお店を出されたことはお聞きしてはいたんですが、私はお店の名前を存じ上げなくて、実際にお店に伺う機会もなかったんです。

店内

ところが、たまたま私の姪っ子が守谷の辺りに住んでいまして、ある時、その姪とここ菩提樹で食事していると、「うちの近くにも、ここ菩提樹に似た雰囲気の、おいしいお店がある」というんですね。

それで、その守谷のお店の店長さんが姪に話してくれていた、「修業時代の東京のお店」の話を思い返すと、「どうもここ菩提樹のことを言っているらしい」ということに、姪が気付いたんです。

それで私は、「そこの店長さんは、こんな体格の、こんな人相の人か?(失礼ながら少々とっつきにくい風貌といいますか、いわゆるコワモテの方なので 笑)」と聞くと姪は、「そうだ」、と(笑)。間違いなく当時の菩提樹の店長、吉野さんでした。

― それはすごいご縁ですね。

清水さん:私はその守谷のお店の名前は知らなかったですし、姪の方もその店長さんが修業したというお店の特徴だけ聞いていたそうですから、普通だったら分からないでしょう。

清水さん

彼が店長だった時から、もう二十何年経っているのに、お店の特徴や雰囲気だけで「ここ菩提樹のことだ」と気が付くというのは、すごいことだと思います。

きっとこの菩提樹というお店に、その当時の店長さんだった吉野さんが新しく作った守谷のお店と共通する、二十数年経った今でも変わらない"良さ"があるんだと思います。

姪には「今度行ったら清水の親戚だと店長に言って、タダにしてもらえ!」と言っておきました(笑)。

"儲かる商売"などない。自分で稼ぐからいい商売になる

― モスバーガー時代のことを教えてください。

モスバーガーを選んだ理由は"トップの人間性"

清水さん:私がモスバーガーに加盟し、巣鴨に自分の店舗をオープンさせたのは、昭和52年のことでした。モスバーガーの加盟店が全国でも30店舗ほどしかなかった頃です。

私はそれまで証券会社に勤務していまして、思うところがあって飲食店を開こうと考え、あるコーヒーチェーンのフランチャイズに加盟するため、準備を進めていました。

その喫茶店の加盟店オーナーとしての講習などもすべて修了し、段取りもすべて整い、さあ開店だという段階で、勤めていた証券会社のある先輩から、「同じ証券会社のOBがハンバーガーショップのフランチャイズを募集しているらしいから、話を聞いてみてはどうか」と教わったんです。

それで、すぐにモスバーガーに電話して、その同じ証券会社の先輩だという(社員が1万人以上いましたから面識はなかったのですが)トップの方に会いに行きました。直接お話をお聞きし、「これは喫茶店より面白そうだ」と感じて、モスバーガーへの加盟することを決めました。

― コーヒーチェーンの開店準備がかなり進んでいたわけですから、それを取り止められたということは、すごく「面白そう」だとお感じになったんですね。

清水さん

清水さん:・・・と思うでしょう? それが、違うんですよ(笑)。私がモスバーガーへの加入を決めた理由は、"トップの人間性"でした。

たかだか20分か30分の会話でしたが、私が「儲かる商売があると聞いたんで、お話を聞きに来ました」と言ったら、その当時のトップは、「"儲かる商売"なんかがあったら自分でやるわ、お前なんかに教えない!」と、こうですよ(笑)。「自分で稼ぐからいい商売なんだ。そう思わないか?」と。

私もそういう考えで証券会社を辞めましたし、「確かにそれはそうだ。この人は嘘は言わない」と感じ、そのトップの姿勢が気に入って、モスバーガーへの加入を決めました。

その当時からモスバーガーへの加盟の審査は当時からとても厳しくて、通常は半年ぐらいかかったらしいんですが、面談した1か月後には加入が決定し、その1か月後にはお店をオープンさせていました。

地道な努力を続けることだけが、お店を成長させる

― オープンされた当初からお店は順調だったんですか?

夜9時から朝9時までを1人で担当

清水さん:いえ、それが、オープン前に予定していた売上げの半分しか売れない、というスタートでした。私と家内の2人で始めたんですが、朝10時~午後10時までの12時間営業して、日に10万円の売上げを見込んでいたものの、5万円しか売上げられない状態が数ヵ月続きました。

すると本部のスーパーバイザーがやってきて、「この地域は午前2時までは営業しないとダメだ」と言うんです。「話が違うじゃないか」とは思いながらも(笑)、最終的には「よしわかった!」ということで、深夜2時までお店を開けて、営業してみることにしました。

朝10時から深夜2時までお店を開くためには、閉店後の深夜2時から翌朝の10時までの時間に、調理器具や店内の清掃、備品の補充や仕込み、清算業務など、すべての準備を終わらせなければなりません。

そこで家内と相談し、「昼間は朝9時から夜9時まで、お前1人(とお昼のアルバイト1~2人)でやってくれ。その代わり俺は夜9時から深夜2時までの店舗の営業と、翌朝9時までの開店準備を1人でやるから」と話をし、24時間を家内と2人で12時間ずつに分けてお店を廻すことにしました。

― それは大変な激務でしたね。

清水さん

清水さん:営業時間を延長したことで、5万円だった日の売上が7万になり、10万になりました。10坪ほどの店舗でしたが、その後も15万円、20万円と順調に日の売上げは伸びていき、オープンして3年後には、日商30万円、年商でいうと1億1千万にまで伸ばすことができました。

「加盟店の中でも随一の収益を上げる店舗」として注目されるようになりましたが、そこまで売上げを伸ばすことが出来た理由は、一つ一つの細かな工夫の積み重ね以外にありません。

接客や調理方法はもちろん、各種のメニューやドリンクの提供温度、掃除の仕方や、その掃除に使う道具に至るまで、お店の営業・運営にまつわるすべての部分で、「もっと喜んでもらうやり方はないか、少しでも速く、きれいにやる方法はないか」と自分なりに考え(本部のスーパーバイザーに「俺が教えた方がいい!」と言って追い返していました 笑)、毎日改善を続けました。

例えば私は毎日、ゴミ袋を全部開けて、何が残されたかを見て、残された料理の調理方法の改善を続けました。料理やドリンクを残されたということは、おいしくなかった、自分が調理方法を間違えた、ということですから。

毎日ごみをチェックして改善を続けていると、ゴミとして残される料理は目に見えて減っていきました。本当においしいと、食べきれない場合でもお客様はお持ち帰りになりますから、袋だけお渡しすればよくなります。ゴミ袋は潰すとペシャンコになるようになりました。

― 「ファーストフードでも」、というと大変失礼かとは思いますが、そうした改善の積み重ねで、そこまで食べ残しが減っていく・・・というのには驚きました。

清水さん:当時と今とでは違いはあるかもしれませんが、やはりそうした努力の積み重ねは、いつかはお客様に伝わり、分かっていただけるものだと思います。

私の好きな言葉は、「誠(まこと)」という言葉なんです。「誠」とは、「口にしたことは成し遂げる」ということです。理屈を言わず、言ったことは絶対にやり遂げる、それが「誠」です。

その「誠」の心で業務に当たれば、全部通じます。接客でも掃除でも商品作りでも、いつかは全部が通じて、お客の心を掴むことができます。

商売で難しいことは一つもないんです。当たり前のことを、当たり前のようにやって差し上げる。しかも、毎日、いつでも。そうすれば必ず、売上げは上がっていきます。

モス本体の経営者になっても、大事なことは同じ

清水さん

清水さん:そういう細かな努力は、やり始めは分かってもらえません。ただそれを3ヶ月続けると少しずつお客様にも分かっていただけるようになって、それを4回、1年続けると、グッと伸びてくる。

その後、乞われて「3年間だけ」という約束でモス本体の経営陣に加わってからも、全部そうやって全国の店舗を廻って指導しました。「誠」の心を持って、お店の隅々まで、全ての仕事に心を配る。「もっとこうした方がいい、こうした方が喜んでいただける」という小さな工夫を、当たり前のこととして、毎日、いつでも、やり続ける。

私は証券会社時代に、数十億の資産を株や不動産に投資されるお客様をたくさん担当させていただきましたし、自分で店舗も経営していましたので、大きい商売も小さい商売も見てきていますが、商売で大切なことは規模に関係なく、一緒だと思っています。

例えなかなか上手く行かない時期が続いたとしても、最初の志をたがえず、揺らがず、当たり前の日々の努力をどれだけ続けられるかだと思います。

結局、モスフードサービスの役員としての任期は、3年が5年になり、5年が7年になり、20年務めることになりました。

菩提樹は「嘘をつかない店」

― モスフードサービスの社長を務められたご経験から、菩提樹というお店をどうご覧になっていますか?

菩提樹の歴代の店長さんには、皆さんに「誠」がありました

店内

清水さん:菩提樹で先ほどお話した「誠」を最初に実証してくれたのが、以前店長をされていた吉野さんでしたが、その後の菩提樹の歴代の店長さんも、皆さんそうだったと思います。

私も社長時代、社員に、「ここはいい店だ。"嘘をつかない店"だ」と話して、良く菩提樹に連れて来させていただきました。お店の運営のことで、もし何かダメなことがあったら、弁解したり嘘をついたりせず、素直に「ダメでした」と言って改善すればいい。その誠意ある、正直な姿勢を見習ってほしい、という気持ちを持っていました。

今でもモスフードサービスの社員の半分くらいは、菩提樹を知っていると思います。今も何かの折に昔の部下に「たまには飯でも御馳走しようか?」と聞くと、「いつものところ(菩提樹)でいいですか?」と言いますよ(笑)。

「お店の宣伝」は必要ありません。

― 最後に菩提樹に対して望まれることがありましたら、忌憚なく教えてください。

言葉は必要ない

清水さん:とにかく、これからもいい商品、いいサービスを提供して欲しいと思います。従業員の方々も、常にレベルアップ目指して日々努力を続けてほしいと思います。

清水さん

私は、言葉でお店を宣伝することは必要ないと思っています。商品の「品」という字は、「3人の人の口」を表しているそうです。つまり、それが本当に良い商品であれば、3人のお客様がその良さを語り、伝えてくれる、ということです。

「身から出たサビ」という諺がありますが、ちょうどそれの逆のことが起こるわけです。「身」の方、つまり商品を良くすれば、必ずそれは人に伝わって、だんだんお客様は増えていきます。だから「いいお店ですよ」と言葉で宣伝する必要はないと私は思います。

他店を抜く、それで「たぬき」

清水さん:よく料亭なんかの門のところに狸の置物が置いてありますが、あれは「他店を抜く」、それで「他(た)抜き(ぬき)」なんだそうです。「他のお店ではやっていないサービスをしています。お腹も白くて、おかしな会計もしていませんから、安心してお入りください。」という意味が込められている。

菩提樹に狸の置物を置くことはありませんが(笑)、菩提樹の皆さんも1人1人そういうお気持ちを持って、これからも良い商品・良いサービスを提供して行っていただきたいと思っています。

― 今日は貴重なお話を、ありがとうございました。